1970年代の大相撲人気を支えた元大関貴ノ花、二子山親方の花田満(はなだ・みつる)さんが口腔底(こうくうてい)がんのため30日、亡くなった。引退後は三代目若乃花、貴乃花の兄弟横綱を育て、空前の大相撲ブームを巻き起こした。現役時代も指導者としても、「忍耐」と「粘り」で一時代を築き上げた。まだ55歳。早すぎる死を惜しむ声が広がった。
競泳で当時の中学生記録を更新し、五輪候補にも挙げられたが、「水泳ではメシを食えない」と二子山部屋に入門。100キロの軽量ながら、現役時代、最年少昇進記録を次々と塗り替えたのは、兄で師匠だった先代二子山親方、勝治さん(77)の厳しい指導を猛げいこで結実させたからだった。強じんな足腰は、対戦相手を「土俵の外に出すまで絶対安心できない」「サーカス相撲」と嘆かせた。小結時代の71年夏場所5日目に、横綱大鵬を破って引退に追い込むなど、ライバルたちとの名勝負は数知れず。土俵際での攻防はファンの目をくぎ付けにし「角界のプリンス」と呼ばれた。
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